しかし、今振り返ると、あの貧しかった頃のほうが楽しかったような気がします。なぜなら、色々な苦労を経験させていただいた結果、少しは人の気持ちが分かる人間にならせていただいたからです。人間は苦労しなければ、人の気持ちが分からないではないですか。「苦労は買ってでもしなさい。小さい時に苦労したことは、大人になったらきっと役に立つ」と言われた時期でした。私はたくさんの苦労を経験させていただきましたが、本当に良い経験をさせていただいたと思っています。私は、幸せとは何だろうかと誰よりも追求した一人かもしれません。
実は、三十五歳で三つ目の会社を作らせていただいた時に「真の成功者とはどういう方だろうか」と追求して、マーフィーの法則やナポレオン・ヒルの成功哲学を読んだことがあります。ナポレオン・ヒルの成功哲学には、成功者の条件として「①成功者は「社会や人の役に立ちたい」と思っている。②命の存在を信じている。③恐怖心を乗り越えている。④主の存在を信じている」と書いてあるのです。命の存在を信じた者には良いことが起こるというのが、マーフィーの「引き寄せの法則」です。しかし、反対に命の存在を信じない者には、良いことが起こらないのです。マーフィーの法則の中に「ハイヤーセルフ」という言葉があります。ハイヤーセルフとは、日本語で「高次元の自分」という意味です。インドでは「内在する神」とも言われ、日本では「魂」や「命」とも言います。マーフィーもナポレオン・ヒルも「成功者は命の存在、主の存在を信じている」と言っているのです。しかし、書物に書いてある内容を理論で分かっても意味がありません。書物に書いてあることを実践しなければ身に付かないのです。
私は二歳半からずっと、育ての母から命の存在や人格、人間性の大切さを教えられました。「晃弘、命があるから生きているんやで」と徹底的に教えられたのです。だから私は、命の存在をとても信じたのです。私の幼少期の写真がありますが、どんなに貧しい家庭で育っても、いつも心配も不安もなくニコニコしていたとしたら、それは命の存在を信じていたからです。だから、家が貧しいことは何とも思いませんでした。あなた方は子供に、命の存在を教えましたか。命は目に見えませんが、小さい時に教えられたら、子供は素直だから信じるのです。ところが人間は、見える物質に焦点を絞るようになると、見えない存在を忘れるように創られているのです。大人になってから見えない存在を教えられても、中々理解できないのです。なぜなら、人間は目に見えるものに心を奪われるように創られているからです。ですから、大人になってから見えない存在を信じるには、とても時間がかかるのです。
イエスの聖書には「持てる者、ラクダが針の穴を通るより、神という存在を信じることは難しい」と書いてあります。「持てる者」というのは、結婚をしていたり、お金があって経済的に裕福であったり、社会的地位を持っていることです。つまり、お金や物質や社会的地位を持っている方が見えない存在を信じるということは、ラクダが針の穴を通るよりも難しいという教えです。私は結婚もしていますし、子供もいますし、家もありますし、物質もお金も持っています。それでも私は、見えない存在を信じたのです。なぜなら、小さい時から育ての母から命の存在を徹底的に教えられたので、見えない存在を信じる性格だったからです。